Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.13
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
金属粉末とバインダが決める面粗度
MIM(Metal injection molding)は小型で複雑な最終形状を有する金属部品を量産するのに適した製造方法ですが、小型で複雑な部品は後加工を施すことが困難で、MIMの焼結工程で得られる面粗度が製品の面粗度となる場合が多いです。今回はμ-MIM技術が実現する面粗度について紹介します。
面粗度は金属粉末の粒径次第
MIMは金属粉末を変形させずに成形するので、金属粉末の粒径が面粗度を左右するといっても過言ではありません。形状を転写する金型の表面状態にも影響を受けますが、面粗度の小さい表面を得たい場合は、平均粒径の小さい金属粉末を使用する必要があります。
ステンレスの平均粒径が2μmの金属粉末を使用し、量産した製品においてRa=0.2μmを達成した実績があります。図1は粉末粒径の異なる材料で作製したマイクロピラーのSEM観察画像です。平均粒径が小さくなると転写性が良くなり、面粗度も向上していることがわかります。
図1. SUS316Lを用いて作製したマイクロピラー(a)平均粒径2μm,(b)平均粒径9μmの粉末を使用
細かい金属粉末は扱いが困難
MIMは成形体中の金属粉末の分散性が、機械特性や面粗度に影響を与えます。細かい金属粉末は凝集が起きやすく、適切なバインダの選択と粉末の管理が欠かせない上に、比表面積も大きくなるので、バインダとの意図しない反応が見られる場合が多いです。また、製造工程での歩留まりが低いため、粉末の価格が高くなり、納期も長くなる傾向があります。
平均粒径の小さい金属粉末を使用する際には、バインダの適切な選択とともに、フィードストックを作る混練工程でも適切な混練機の選択が必須です。適切な混練機を使用しないと、金属粉末を覆うようにバインダが混練されないため、成形時の流動性が著しく低下します。流動性の低下は製品形状の転写性や面粗度の低下につながります。
µ-MIM技術が実現する面粗度の小さい微小金属部品
平均粒径が2μmのステンレス粉末が流通するようになって10年以上経ちますが、まだ2μmの粉末を使用したフィードストックは一般に流通していません。10年以上にわたり細かい粉末の知見を得てきた我々のフィードストックは、このような平均粒径の小さい金属粉末を高い流動性を保ちつつ、成形体中の均一な分散を実現します。我々のμ-MIM技術が、面粗度の要求を満たした複雑微小部品の安定的な量産を実現します。
参考 www.intechopen.com, Powder Injection Molding of Metal and Ceramic Parts
C. Quinard et al. Development and properties identification of 316L stainless steel feedstock for PIM and μPIM, Powder Technol. 190 (1–2) (2009) 123–128.
社員コラム
管理部品質保証の宮里晃司です。量産製品の検査および工程管理が主な仕事です。この夏で入社して1年4ヶ月になります。
私のモットーは、スイッチのON/OFFの切り替えを大事にしています。いかにプライベートで仕事モードをOFFにできるかで、仕事モードに入るONも変わると思っています。映画を見に行く機会が増え、最近はアラジンを観て私は2回も泣きました。年齢を重ねるにつれ、涙もろくなったと思いますが、これも私なんだと自分を見つめています。
