Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.53
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
金属射出成形メーカーの視点から見た金属 3Dプリントの動向
金属3Dプリントは製造方法の一つとして広く受け入れられるようになりました。
これまでは主に試作用途での利用が中心でしたが、3Dプリンタメーカー各社が高い生産性を実現する設備を発表し、3Dプリンタの量産利用が現実のものとなりつつあります。
今回は、積層製造に特化した学会及び展示会、RAPID + TCT 2025 Detroitで得られた北アメリカの積層製造(AM)事情を報告します。
RAPID + TCT
RAPID + TCTは、SMEとRapid News Publications Ltd.が共同開催する北米最大規模のAM展示会です。
SMEは1932年にデトロイトで設立され、20万人以上の製造業者、学術関係者、技術者、学生が参画しています。
TCTグループのRapid News Publicationsは30年以上にわたり、3Dプリントや設計・エンジニアリング技術を網羅してきました。
今年のデトロイト大会は 3日間開催され、500の出展があった展示会には 15,000人の来場者、また学会では航空宇宙、防衛、ヘルスケア、モビリティ、コンシューマー、プロセス開発、材料開発、エコシステムの8つのセクションで 140件程度の発表がありました。
注目トピック
● 分散スポットスキャン法による高い焼結密度
● 実測データと高い相関を保ちながらシミュレーション時間を圧縮する方法
● 新規粉末の開発および粉末リサイクル技術の進展
● 注目度はまだ限定的な脱脂工程に関する発表及び展示
前回紹介した粉末冶金国際学会では、シンターベース (脱脂焼結別工程)AMが発表の約半数を占めていましたが、RAPID + TCT 2025ではビームベース(その場焼結)AMの発表が圧倒的に多く見られました。

注目講演
高出力電子ビーム粉末床溶融 (E-PBF)と特殊コーティング粉末を用い、Ti合金・W・Mo・Cuで高密度焼結に成功した事例がありました。
一般的にビームベース AMはHIP処理が密度向上に必須とされますが、最適条件下の散乱ビーム焼結のみでタングステンの99.9%密度を達成したとの報告がありました。
1200−5000Wの高出力ビームを使用しますが、スキャン方法により密度が変化するそうで、WやTi合金では散乱スポットスキャンが、Cuではラインスキャンがより高い密度を示すとの報告でした。
また、Ti合金の延性向上には HIP処理が依然として有効であることも報告されました。
最後に
基調講演では、粉末冶金分野で最も注目されるAMであっても、新型スマートフォンの発表ほど大々的に報道されることは稀ですが、私たちが日々磨き上げる技術こそが数え切れない重要製品を支えているのでこの大会を通じて積極的に横のつながりを構築して、世の中にもアピールできる事例を引き続き創出しようとの言及がありました。
マイクロMIMおよび太盛工業は、こうした技術革新を舞台裏で推進することに誇りを持っています。
今後も競争力ある金属3Dプリント技術が従来のMIMプロセスを補完し、時には凌駕する可能性を追求し続けます。
展示会情報
第16回 ヘルスケア・医療機器 開発展[東京]
・会場:幕張メッセ 東4ホール
・⼩間番号:22-32
※打合せ予約は岡村(noriko_okamura@taisei-kogyo-net.co.jp)にご連絡ください。
※事前来場登録はこちら
社員コラム
製造部で成形を担当している増田です。入社して2年が経ちました。
楽しく正確にをモットーに試作、量産案件の成形工程全般を担当しています。
休日は家でゲーム、漫画を楽しんで時間を過ごすことが多いですが、最近はブレンダーと言う3Dモデリングを楽しんでいます。
写真は石垣島に1週間旅行した時に食べた、思い出のハンバーグです。
沖縄の豚肉のみを使ったハンバーグでとても美味しかったです。
