04.06.19

論文

マイクロ金属粉末射出成形品における原料の混練性と力学的特性の評価

日本機械学会第11回機械材料・材料加工技術講演会講演論文集


概要

近年,金属粉末射出成形(Metal Injection Molding, MIM)技術の進歩により,複雑な形状を有する部品の超小型化が進んでいる.とりわけ,マイクロシステム技術(MST)やMicro-Electro-Mechanical Systems(MEMS)など半導体製造工程を利用した超精密加工技術が注目される中,マイクロサイズの構造体の製品を量産化するためにはマイクロ放電加工やレーザー加工,さらにLIGAプロセスにより作製された超微細金型を用いたマイクロ金属粉末射出成形(μ-MIM)が有効と期待されている.
しかし,μ-MIMにおいては,1)成形の際の微細構造孔への原料の未充填,2)脱脂の際の溶融バインダの流動による微細構造成形体の変形,3)焼結時の収縮による微細構造成形体の変形や破損など,克服すべき課題も多い.すなわち,μ-MIMに特化した原材料の選定および金型設計や射出条件,脱脂・焼結条件の最適化に加え,μ-MIMの評価も微視的スケールで実施する必要があり,マイクロ評価法の有用性について検討する必要がある.
ところで,μ-MIM製品の大きさは一般に使用される原料ペレットの1粒よりも小さくなってきている.これまでのμ-MIM製品の力学的特性を評価した研究[1]から,マイクロダンベル試験片における引張強度の偏差は大きく,この原因は原料である金属粉末およびバインダの混練および造粒状態が最終焼結品の諸特性に影響を及ぼしたためと考えている.そこで,原料ペレットに視点を置き,これまで混練性の評価を試みてきた[2]が,本研究ではより均質なペレットを作製する方法として再造粒を試み,各ペレットの密度および脱脂・焼結後の重量減少率を測定し,再造粒の効果を調査検討した.さらに,再造粒ペレットを用いて成形品を作製し,原料の均質性が製品の特性に及ぼす影響も調査した.