SERVICE 事業内容 多孔質金属
多孔質金属(Porous Metal)とは
多孔質金属は小さい空孔が無数にあいている金属材料で、多孔質としての様々な特徴と金属としての特性を併せ持つ新たな金属材料です。空孔形態や材質によって様々な機能を発現するため、幅広い分野での利用が期待されています。
導電性
オープンセル型ポーラス金属は大きな表面積と金属の導電性の高さを併せ持つことになります。この特性から燃料電池の効率的な電極等への利用が研究されています。

通気性
オープンセルのポーラス金属は空隙同士が繋がっており、金属でありながら通気性を持ちます。この通気性を生かして触媒フィルターや不純物ろ過用フィルター等への応用が研究されています。

熱伝導性
ポーラス金属は空孔が重なっており、オープンセルの場合、比表面積も非常に大きくなります。この表面積の大きさと、金属の熱伝導性の高さを生かして熱交換器等への利用が研究されています。

エネルギー吸収性
クローズドセルのポーラス金属は、強度を持ちながらも軽量であるため、自動車などのエネルギー吸収(衝撃吸収)部材として実用化が研究されています。

遮音性
クローズドセルのポーラス金属は独立した空気層が多数重なっており、優れた遮音性、吸音性を持ちます。特にアルミポーラス金属が吸音材として用いられています。

太盛工業が提供する多孔質金属
バルク体
焼結後空孔となるダミー樹脂材を金属材料と混練し、MIMの技術を用いて作製します。多種多様な材質、形状、空孔率が可能です。

- 【材料】ステンレス鋼、チタン、ニッケル等 (アルミは取り扱いしておりません)
- 【空孔径】数μm ~ 数十μm
- 【空孔率】数% ~ 数十%
- (下記の吸水処理も可能です)
吸水性不織布状シート
金属繊維を不織布状に焼き固めたシートに特殊な吸水処理を施します。
大きな空孔、小さな空孔率でも毛細管現象を発現するような工夫を施していますので通気性を保ちながら、水分を吸収し、内部に保持することが可能です。多種多様な材質、形状、空孔率が可能です。

- 【材料】ステンレス鋼、チタン、 銅、ニッケル等 (アルミは取り扱いしておりません)
- 【大きさ】最大400mm角程度
- 【厚み】約0.1mm ~ 5.0mm
- 【空孔率】約50% ~ 80%
- (吸水処理無しでも対応可能です)
高空孔率チタンフォーム(Ti - Foam)
サブミリオーダーの空孔を持つ、高空孔率の多孔質チタンです。


- 【材料】チタン(ニッケル)等 (アルミは取り扱いしておりません)
- 【サイズ】約85mm角or約300mm角×厚み約9mm
- 【空孔率】約90%
多孔質金属の技術成果例
太盛工業では常に様々な新しい技術に挑戦しています
多孔質金属紙
紙のように非常に薄く、比表面積の極めて大きい多孔質金属です。
サイズ目安:t=0.1mm以下、30mm角以下
マイクロレベルの空孔が無数に空いているので、肉眼では金属光沢が無く、柔軟かつ軽量でまるで本物の紙のように見えますが、100%金属材料なので、電気伝導性もあり、金属材料本来の特性が得られます。

- 【材料】SUS合金、Cu系合金、Ni系合金、貴金属 等
- 【用途例】バイオセンサ・ガスセンサ集電体、触媒基材等
- 【特許番号】WO 2013100147 A1、EP 2799166 A1、US 20150017464 A1
マイクロとナノの複数の孔サイズを持つ多孔質材料
JST戦略的創造研究推進事業の一環として、東北大学との共同で、マイクロメートルとナノメートルのそれぞれのレベルで多孔質構造を持つ多孔質金属の作製に成功しました。
まず合金材料にて上記の多孔質金属紙を作製し、それを東北大学の電気化学的手法によって脱合金化させることで、マイクロ・ナノハイブリッド多孔質金属紙としました。
用途例として、ナノポーラスニッケルやナノポーラスゴールドを本手法により作製し、高性能なスーパーキャパシタ、水の電気分解における酸素生成極としても高い性能を誇ることを実証しました。
(国際特許出願中)

