05.10.17

論文

チタン粉末射出成形品の窒化処理による高機能化

チタン粉末射出成形品の窒化処理による高機能化

機械学会年次大会2005 Japan(MECJ-05)

概要:
金属粉末射出成形(Metal Injection Molding, MIM)は,他の製造法に比べてネットシェイプで複雑形状部品を量産可能であるが,さらに超精密加工技術を用いてマイクロスケールのサイズや微細構造を有する金属製品を量産化するために,マイクロ金属粉末射出成形(μ-MIM)による製造技術が有効である[1].著者らは,これまで原料調合工程での混練の均一性の向上や,射出成形工程での微細構造の型への安定成形と転写性の向上など,MIMの品質向上の追及を経て,マイクロ化のための製造技術の確立に取り組んできた[2, 3].
一方,金属製品の表面硬度向上などの高機能化を図る有効な手段の一つとして,一般に窒化や浸炭などの表面処理が知られている.チタンは窒素や酸素,炭素などに対して極めて活性で,特に窒化チタン(TiN)は高い硬度と金色を呈することから,切削工具や装飾品などの表面処理に多用されている.
μ-MIMにより作製した焼結品は,汎用MIM品と比較して薄片で比表面積が大きく,各種の表面処理により全体の特性改善の効果が期待され,μ-MIM製品のさらなる高機能化が実現可能であると思われる.そこで本研究では,MIMによりサイズや形状の異なる純チタン製の焼結品を作製し,種々の条件で窒化処理を行い,得られた焼結品の窒化層の厚さ,硬さ,組織および組成の変化について調査した.