06.04.17

論文

マイクロ犠牲樹脂型インサート金属粉末射出成形による高機能ばねの創製

マイクロ犠牲樹脂型インサート金属粉末射出成形による高機能ばねの創製



ばね論文集 2006 巻 (2006) 51 号 p. 55-62

概要:
金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding, MIM)とは,溶融した樹脂を金型内に射出することにより複雑な形状の製品を製造するプラスチック射出成形法(Plastic Injection Molding)と,金型内で圧粉した金属粉末を焼結により高精度な部品を製造する粉末冶金法(Powder Metallurgy, PM)を組み合せた複合の製造技術である.そのため,MIMはプラスチック射出成形法および粉末冶金法の2つの製造法に共通した特徴を持ち,またそれぞれの利点および欠点を互いに補完した特徴を有している.このことから,三次元複雑形状のネットシェイプ成形や微粉末の使用による緻密化と合金化,さらに製品の小型化と一体化が可能で,高精度な小型精密部品を安定して量産できる.今後,自動車・電気通信・医療など様々な分野からの小型で複雑形状の精密金属部品の要望に対して,MIMによる製造が大いに期待されている.しかし,その要求の高さから,今後はMIM製造のグローバル化と低コスト化が急速に進行する可能性が高くなる反面,近年MIM製品の品質に対する要求も一層高くなっている.さらに,マイクロシステム技術やMEMSなど半導体製造工程を利用した超精密加工技術の利用およびその補完技術の必要性から,著者らはマイクロ金属粉末射出成形(μ-MIM)法の確立を目指している.