04.11.17

技術情報

マイクロ金属粉末射出成形における流動挙動の解析

マイクロ金属粉末射出成形における流動挙動の解析



日本機械学会年次大会2004 口頭発表

概要:
自動車や電気機器などのエンジニアリング分野のプラスチック射出成形においては,金型の設計時や成形工程,さらに製品設計の段階から,流動解析を積極的に用いて型内での材料の充填挙動や変形予測などを行い,最適な金型構造や成形条件となるように検討が行われることが多い.そのため,各種樹脂材料に適した汎用射出成形解析ソフトが多数販売されており,容易に利用できる環境にある.しかし,プラスチック射出成形においても,マイクロ射出成形に対して汎用流動解析ソフトによる解析結果の妥当性を検証した事例は少なく,マイクロ成形での金型内での樹脂流動挙動のための可視化や粘度・非容積などの材料データの測定も困難なため研究事例が少ない.
一方,金属粉末射出成形(Metal Injection Molding, MIM)に使用されるMIM原料は,金属粉末と他種の樹脂材料から構成される不均質材料であるため,樹脂材料のような均質材料とは大きく異なる材料特性を有する.特に,金属粉末は樹脂よりも比重や熱伝導率が高く,射出後に不安定な流動状態を示し,金型表面からの急速な冷却固化が起こることに加えて,金型表面でのMIM材のすべり現象も生じる.セラミックスや金属のための粉末射出成形(Powder Injection Molding, PIM)に特化した流動解析ソフトも開発・市販され始めているが,現状では未だ普及には至っていない.
本研究では,汎用流動解析ソフト(Moldflow Plastic Insight Ver.4.1)によるMIM充填解析の使用の可能性とm-MIMでの適用性を検討することを目的とする.そのための準備として,バーフロー金型を用いた樹脂の流動長実験を行い,汎用射出成形解析ソフトを用いた充填解析の結果と比較検討し,解析結果に及ぼす影響因子について調査した.また,マイクロダンベルのショートショット成形実験をMIMと樹脂に対して行い,それらの流動挙動の違いを観察した.さらにマイクロダンベル両掴み部での圧力測定と解析の結果を比較検討した.