Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.14
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
金型と成形工程
MIMにおいて形状を付与する唯一の工程である成形工程。その成形工程で使用する金型と成形技術は、我々のμ-MIM技術の知的財産がもっとも詰め込まれています。今回は金型と成形工程について紹介します。
製品形状や機械特性を決める金型
日本マイクロMIMでは、ある時はギア、ある時はノズルなど、取り扱う製品形状の種類が多いため、金型はその形状ごとに世界トップクラスの技術を持った金型メーカーに製作を依頼しています。
プラスチック成形の金型と同様に、成形体には、①金型が開く面に沿って現れるパーティングライン(PL)、②材料をキャビティに注入するためのゲート痕、③金型から取り出すときに製品を押し出す突出し跡が残ります。しかし、我々が取り扱う製品は焼結品を機械加工などで処理することが困難な形状やサイズが多いため、これらの痕跡を限りなく小さく、かつ製品に影響しない箇所に配置することが金型設計に求められます。我々はプラスチック成形で培ったノウハウを基に、金型メーカーと金型の設計を行っています。
図はヘリカルギアの一例です。この製品は金型を多数個に分割して開き、製品を取り出すタイプの金型を使用しています。金型の分割数を多くするとより複雑な形状を作ることができますが、それだけPLが増えてしまいます。しかし、この製品のように、PLはありますが、目視では確認できないくらいのレベルを実現しています。実物を2.5倍に拡大した図中の矢印の部分にPLがあります。さらに電子顕微鏡(SEM)で観察しても判別できないことが分かります。

右)そのPL部分のSEM観察画像
製品の面粗度は、以前紹介した材料粉末の選択に加え、金型の面粗度に大きく依存します。微小な部品になればなるほど後加工が難しくなり、金型と粉末だけで要求表面粗度を達成する必要があります。
また、フィードストックの流動性は最終製品の機械特性を左右します。面粗度が正しく制御された金型を製作することが、MIM製品の品質向上につながります。
生産性を落とさずに、高精度に微小で複雑な製品を量産できるのは、偏に我々の要求に応えてくれる世界トップクラスの金型メーカーの技術に依ります。
MIM業界では特異で得意な成形工程
我々はプラスチック成形で創業しました。高度経済成長期に市場の要求に応えるべく、様々な種類の成形法、材料を経験してきました。その蓄積を今はMIMに全て注ぎ込んでいます。ほとんどのMIMメーカーは金属に関わる事業を元に創業しておりますが、我々は創業事業が成形なので、成形技術に関してはMIM業界では絶対の自信を持っています。
MIMの成形体は脆いため、プラスチック業界では一般的な“無理抜き”と呼ばれる材料の弾性変形を利用した離型方法は採用できないなど、プラスチック成形に比べ制限が多くあります。しかし、プラスチック成形でできることはMIMにも応用できるという信念で成形技術の開発に取り組んでいます。
展示会情報

10月23日(水)〜26日(土)にポートメッセなごやで開催されるメカトロテックジャパン2019に、我々が所属する微細加工工業会(https://bisai-monozukuri.com/)が出展します。加盟企業の微細部品・製品が展示され、我々のマイクロMIM部品もご覧いただけます。
ブース番号:1A09
社員コラム
製造部成形課の石田絢也(いしだじゅんや)です。
三重県の製造メーカーのメンテマンを経て、2018年12月から勤めています。現在は量産品の品質保全のため、適切な作業と臨機応変な行動を心がけて作業しています。休日は愛犬とゆっくり散歩をしたり、バイクで美味しい店を調べて遠出したりしています。未経験な分野で初めて知ることが多いですが、日々成長すべく努力していきます。
