Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.15
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
脱脂・焼結炉について
MIM成形体を焼き固めて緻密な金属とする工程が脱脂、焼結工程です。今回はこの脱脂、焼結工程に使用される脱脂、焼結炉についてご紹介します。
炉の種類
MIMの脱脂、焼結工程に使用される炉は連続炉とバッチ炉に大別されます。連続炉は、装置の立ち上げや条件変更に時間を要するため、同一製品の大量生産向きです。バッチ炉に比べると雰囲気制御が困難であるとの意見もありますが、熱源から製品の距離が短いため、炉内温度のばらつきが少ないという特長もあります。
バッチ炉は連続炉に比べ生産性は劣りますが、アイドリング時の消費エネルギーがほぼゼロであることに加え、多品種・少量の要求が増えているMIM業界では主流です。とりわけ、温度および雰囲気制御が容易なため、焼結条件が複雑な高機能材料のMIM製品の製造には不可欠な炉と言えます。
脱脂炉と焼結炉の役割

脱脂炉は、グリーン体と呼ばれる成形体に含まれるバインダを除去するための炉です。成形体には、通常約40vol %のバインダが含まれており、低温域で揮発物が多く発生するため、ガス流量が比較的大きく、排気ラインにトラップと呼ばれる揮発物を捕捉する装置が付いています。また、酸性雰囲気下で脱脂反応を促進させる方法もあり、この場合は専用の排ガス処理装置が設置されます。
脱脂工程を経て大半のバインダが分解除去された成形体は、ブラウン体と呼ばれます。このブラウン体では残留する微量の樹脂のみで金属粉末同士が結合しているため、非常に脆く、ハンドリングが困難です。ブラウン体はセラミック製のセッター上に配置され、焼結炉に搬入されます。
焼結炉は、ブラウン体を焼結して緻密な金属体を得るための炉です。金属の焼結に欠かせない非酸化性雰囲気を保ち、温度の高い均一性を保った状態で所定の温度まで到達する機能が要求されます。
焼結炉は、内部素材により金属系かカーボン系に二分されます。金属系の炉の素材は、融点、蒸気圧、熱膨張率、高温強度等の観点からモリブデンを使用したものが普及しています。一方、カーボン系の炉は、金属系の炉より安価で運用が容易です。どちらの炉が良いかは製品や焼結条件によるところが大きいので、一概に優劣の議論や判断はできないのが実情です。
μ-MIM の脱脂・焼結技術
近年、MIM業界ではこの脱脂炉と焼結炉が一体になった炉が普及しています。一体炉を使用すると、ブラウン体のハンドリングが無くなり、生産性が向上します。しかし、脱脂と焼結を同一空間で行うため、脱脂工程で揮発する有機物の適切な処理機能が重要です。
我々日本マイクロMIMと太盛工業は焼結炉メーカーとの共同開発を経て、脱脂・焼結一体炉をMIM事業創業当初から採用しており、20年超の実績があります。これを基に、条件裕度の狭い金属材料を焼結するなど、焼結技術の開発にも努めています。
社員コラム

こんにちは、ドイツ事務所の中村です。欧州では9月はワインの収穫の時期となります。
ドイツ事務所があるオッフェンブルグの町は白ワインが有名な地方で、ワインハイキングという、ワイン産業が盛んな土地ならではの催しがあります。今月、そのイベントに初めて参加して来ました。
ぶどう畑が続く山道を8kmくらい歩きながら、各ワイナリーのスタンドで、何種類かあるそのワイナリーのワインを一つ選んで飲み、また次のスタンドに歩いていきます。何人かで一緒に歩いているとお互いの選んだワインを少し味見したりして自分の好きな銘柄、種類などをよりよく知ることが出来ました。
家族連れや、友人グループで参加している人たちが多くいました。最後には音楽が流れて、踊っている人たちもいて、お天気にも恵まれ、とても楽しい休日となりました。ドイツに来られる際は是非ドイツ事務所にお立ち寄り下さい。