Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.54
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
金属粉末射出成形(MIM)に高付加価値をつける戦略!
金属粉末射出成形(MIM)に高付加価値をつける方法はいくつか考えられます。
今回の技術ニュースレターではMIM+PEEK樹脂を組み合わせる事で見つけられるメリットをご紹介させていただきます。
PEEKは、Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)の略称で、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の一種です。
耐食性、耐薬品性、機械的強度に優れているため医療器具の分野をはじめ半導体製造、精密電子機器などで大きなメリットを発揮します。
特に、滅菌頻度が高い医療機器や高精度が求められる分野では、長寿命化と安全性の向上が期待できます。
μ-MIM部品にPEEK材をオーバーモールド
近年注目されている高性能材料PEEK材ですが、その加工の難しさが製品開発における課題の一つと認識されております。
太盛工業は、長年にわたりプラスチック射出成形技術と金型設計のノウハウを培ってまいりました。この経験を活かし、微細かつ複雑な形状を有する金属部品を金型にインサートし、PEEK樹脂をオーバーモールド成形(複合成形)する独自の技術を確立いたしました。
このオーバーモールディング技術により、金属部品とPEEK樹脂を一体化することで、精密で複雑な三次元形状を付与できるだけでなく、金型内で複合化することで、極めて高い接合強度と均一で精密な厚み制御を実現することが可能です。また、金型設計の知見を活かすことで、PEEK樹脂のバリ発生を抑制し、高精度かつ安定した生産体制を構築しております。
この技術は、金属とPEEK樹脂それぞれの優れた特性を融合させ、お客様の部品に新たな価値をもたらすことが可能です。太盛工業は、微細な金属部品製造におけるμ-MIM®技術に加え、このPEEK樹脂オーバーモールディング技術を組み合わせることで、お客様の製品開発に新たな可能性を拓くことができると確信しております。
μ-MIM部品にPEEKコーティング
PEEK樹脂は半透明の為、薄茶色から濃い茶色と厚みによって色が替わり、見た目の出来栄えの点で劣ることもありましたが今回はブラックなどのカラーも可能となり外観的にも機能的にも優れたものになりました。
膜厚が厚いほど特性が強化されますが、過剰に厚い場合は対象物の機械的な寸法が変わることがあるため、適切な膜厚を選ぶことが重要となります。
PEEKコーティングの印刷法では20~40μmでの薄膜で基材の精度をほぼ変えずにSEPの機能を付与することがメリットとなります。
ヘルスケア・医療機器開発展ではこれらのサンプルも展示しております。

まとめ
MIMにPEEKを施すことは沢山のメリットがある一方やはりデメリットもございます。
1つはコストが高いこと。もう1つは両技術ともに高度な技術が必要なことがあげられます。
太盛工業はプラスチック成形が創業の為、PEEK樹脂の取り扱い、成形には知識・経験が豊富です。このデメリットをメリットに変える事ができるのは金属とプラスチックの両方を取り扱う事ができる太盛工業ならではの提案・技術です。
展示会情報
第16回 ヘルスケア・医療機器 開発展[東京]
※太盛工業(μ‐MIM)、中原精密(二次加工)、ケーワイズ(マスキング等)、ミゾグチ(コーティング)
・会期:2025年7⽉9⽇(⽔)〜11⽇(⾦) 10:00〜17:00
・会場:幕張メッセ 東4ホール
・⼩間番号:22-32
※打合せ予約は岡村(noriko_okamura@taisei-kogyo-net.co.jp)にご連絡ください。
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