Technique
技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.50
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
三次元測定機 O-INSPECT
前回までは2回に亘って、当社に導入中のソフトウェアPiWebの機能についてお話しました。今回は、昨年導入した三次元座標測定機O-INSPECTについてお話します。
製造業において、製品を「造るための技術」は日進月歩で変化していますが、製品を「評価する技術」も同様に進化し続けています。当社のμ-MIM®によって作られた三次元の複雑形状品の寸法評価には最新の測定技術が欠かせません。
O-INSPECTについて
導入した測定機O-INSPECT(*)は、非接触式高精度カメラセンサと接触式高精度スキャニングセンサとを搭載したマルチセンサ三次元座標測定機です。まず、二つのセンサを用いた測定について説明します。
高精度カメラセンサDiscovery.V12 はテレセントリックレンズ(下図)というレンズとワークの距離に関わらずにワークを同じ大きさで映すことができるレンズを用いています。このレンズと反射光方式や透過光方式などの光学式測定を組み合わせることで微細な凹凸形状を正確に測定することができ、これまで当社で使用していた同様の測定機よりも一桁高い精度で測定を行うことができるようになりました。
次に、高精度スキャニングセンサVAST XXTは、カメラセンサが苦手とする深穴やワーク側面・斜めの箇所といった、光学式では測定できない三次元構造を付属のスタイラス(下図:先端にルビーボールが付いている感圧式のプローブ)を用いて測定します。三次元座標測定機の特徴的な測定機能の一つであるスタイラスがワーク表面をなぞりながら座標を取得し、形状を測る「ならい測定」が可能であり、この機能によってワークの構造を点状の離散的な集合ではなく、連続した複雑な形状として測定、認識できます。加えて、先端のルビーボールは最小で直径0.3mmのものがあり、これにより微細形状もスタイラスで測ることができます。この二つのセンサを用いて、O-INSPECTはワークの三次元形状を測定します。

また、上記二つのセンサーを用いて実際に測定を行う際は、前報でもご紹介しましたZEISS CALYPSOというソフトウェアを使用して測定します。CALYPSOは、AIを用いた自動認識機能や、プログラミング不要で直感的な操作が可能なインターフェースによって、これまで専門的なスキルが要求されていた測定業務の敷居を下げ、属人性を排して再現性の高い結果を得られるようになりました。また、3DCADイメージを用いた測定プランの組立てが容易となり、これによって新しい製品の測定プラン立案に要していた時間短縮ができるようになりました。
μ-MIMにおいては三次元構造の測定技術は製造技術と双璧をなすいわゆるコア・コンピタンスです。製品の微小な異常も見逃さないよう、当社では今後も測定技術の向上に邁進して参ります。

(*)「ZEISS O-INSPECT マルチセンサ三次元座標測定機」ACCRETECH
https://www.accretech.com/jp/product/measuring/system/cmm/zeiss_o_inspect.html
コラム
こんにちは。生産管理部のツィマーマン(Zimmermann)ひかる、です。入社して1年8ヶ月になります。製造業は専門技術と専門知識さらに社員の経験値を必要とする部分がとても多い中、製品が出来上がるまで各部署一人一人が懇切丁寧に仕上げて次工程に渡す連携作業の一番最後、社員一同の力作を梱包してお客様へ発送する業務を担当しております。私達の小さな子供達、世に出てがんばっておいで!という気持ちで毎日送り出しています。
写真の素敵なビーチが自宅すぐの神戸市の西端からはるばる通っています。
