μ-MIM技術ニュース Vol.15

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1.図面レス MIM 部品製作のご案内

図面が存在しない部品であっても、太盛工業は MIM による製作を可能にします。

「部品の実物はあるけど、社内に過去の図 面が存在しなかった」、「海外メーカーからの 購入品を国内調達したい」「メーカー既製品を 自社仕様にカスタマイズしたい」など、太盛工 業には「図面が手元にないけれど、どうにかし て部品を製作したい」、というお客様から相談 をよく頂きます。このような場合でも太盛工業 では、現物さえあれば問題なく MIM 製品の製 作が可能です。3次元デジタイザと CAD シス テムの複合により、お手元の部品の MIM で複 製、更に形状変更等の実施が可能です。

リバースエンジニアリングで、お客様の製品開発のスピードアップを支援します。

太盛工業がご提供するリバースエンジニアリ ングは部品の複製だけではありません。実際 の部品を読み取った3次元データを用いて、 形状変更等を加えた際の部品同士の組合せ シミュレーションや MIM におけるコスト分析等 も実施しており、お客様の工数削減、製品開 発のスピードアップまでサポートしています。

2.μ-MIM を実現する技術

MIM 成形解析ソフトを共同開発

完全な流動体を金型に射出する樹脂成形と 異なり、MIM の場合は金属微粉末とバインダ ー(結合剤)を混合させ金型内へ射出成形を 行います。この材料の違いから、MIM の場合 は、重力や射出時の圧力、微粉末の粒径、そ のばらつき等により成形時の微粉末の分散性 (濃度分布)に偏りが生じます。
この微粉末の濃度分布は、特に部品に機械 加工と同等の高精度、微細形状が求められる μ-MIM のレベルになると、製品品質を左右 する極めて重要なパラメータです。濃度分布 の偏りは、特に焼結時の収縮に大きな影響を もたらします。金属微粉末と樹脂との材料混練 時や、金型内での粉末濃度に偏りが存在する と、これは結果的に外観不良、内部構造欠 陥、反り変形、クラックなどの原因になってしま います。そのため、MIM 製品の製造立上に は、事前のシミュレーション、および成形後の 詳細分析が製品品質の確保のために必要と なります。

太盛工業が MIM 製作を始めた 20 年前に は、樹脂成形に関する CAE 解析関連のソフト は既に数多く存在していましたが、MIM に関 する解析ソフトは皆無であり、自社内でソフト を弄くりながら解析を実施していました。
現在は樹脂成形用の CAE ソフトを開発して いる海外のベンダーと MIM/CIM 用の CAE ソ フトの共同開発を行い、バージョンアップを続 けています。上記で述べた粉末濃度の分析 も、以前より遥かに効率化されており、MIM の 分析の正確性向上、立上のためのリードタイ ムの大幅な短縮を実現しています。引き続き 太盛工業では MIM の高精度化、微小化、微 細化、お客様の製品開発のリードタイム短縮と いったテーマに挑戦し続けて行きます。

3.タイ工場が ISO 取得へキックオフ

太盛工業のタイ工場では、タイや東南アジ アのユーザー向けに MIM の製作、組立、検 査(抜取、全品)を主に行って来ましたが、この たび ISO9001を取得します。今後も引き続き、 MIM 製品の品質向上に努めてまいります。タ イ工場についてのご質問は営業担当まで。

4.機械要素技術展 出展のご報告

太盛工業は6月に開催された機械要素技術 展に出展しました。会場では MIM に関する技 術セミナーも実施し、多くのエンジニアの方に ご参加いただきました。ブースにご訪問、セミ ナーにご参加いただいたみなさま、誠にありが とうございました!多くの方々と実りのある時間 を持つことができ、我々も多くの新しい技術課 題を見つけることができました。それぞれの会 社に訪問しての出張技術セミナーも実施いた しますので、ぜひお声掛けください!

<今後の展示会・学会 予定>
2014 年 9 月 精密工学会、日本機械学会
2014 年 10 月 塑性加工学会
2014 年 11 月 成形加工学会

太盛工業の社員が語る今月のコラム

こんにちは。太盛工業、研究開発室の阪上と申 します。鉄鋼メーカーや MIT を経て、太盛工業に 勤めて今年で 11 年となります。現在は研究開発 室の若手のサポートをしつつ、多孔質金属の研究 を中心に行っています。昔から歴史のあるものに 惹かれる性質でして、音楽や建築には機会があれ ば触れ続けるようにしてきました。三味線などの クラシカルな日本の音楽や、あるいは中世以降の ヨーロッパの町並みなど、長い歴史を経たもの の、ある種の美しさを味わうことが今の楽しみで す。今後も太盛工業をよろしくお願い致します。