μ-MIM技術ニュース Vol.29

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1. 設計者が知っておくべき、3Dプリンターと MIM の特徴

金属部品の造形を行うには、MIM 以外にも様々な製作方法があります。近年発展が著しい3D プリンターも微小・複雑形状の金属部品の製作を行うことが可能となっており、設計者にとって知っておくべき重要技術となっています。今回のニュースではこの金属製 3D プリンターと MIM の特徴と違いについてご紹介します。

・材料種類について

金属 3D プリンターは MIM よりも技術面では後発になりますが、近年発展が著しいのが材料面での対応です。普及型の金属 3D プリンターでは、マレージング鋼やステンレス、コバルトクロム、チタン、銅といった材料の金属造形が可能となっています。一方 MIM についてはこれらの金属は多くがすでに適用範囲内であり、現在では更に貴金属や磁性材料等の適用についての研究が進んでいます。

・精度について

一般的なMIM においては、精度は全方向に対して 2/100~3/100 程度(太盛工業のμMIM®は 1/100 程度)です。普及型の 3D プリンターではまだここまでの精度は難しいのが現状のようです。また、3D プリンターの場合は金属層を積層させて焼結、造形していくため積層方向に対して垂直方向と水平方向について、材料特性面(例えば引張り強さなど)でばらつきを生じます。なお密度は 99%以上と 3Dプリンターと MIM はほぼ同等の高密度を実現できます。

・形状

形状については 3D プリンター、MIM、どちらも機械加工等の他の加工法と比較してはるかに複雑形状の部品を製作することが可能です。しかし 3D プリンターは積層、MIM は金型を用いるという違いがあり、得意な形状等は異なってきます。
MIM の場合は樹脂成形と同じく金型が製作できれば量産が可能です。樹脂と異なり射出成形の後に焼結工程を行い、これらの工程を利用して、犠牲樹脂型を用いた中空構造、アンダーカット形状等の量産製作が可能です。3D プリンターは成形途中にサポート材を必要とするものの、積層できる限り任意の形状を造形することが可能です。ただし、サポート材の除去が必要となります。
なお、下記の逆止弁は機械加工では実現不可能な内部の複雑構造や、一般の MIM では成形不可能な 0.2mm以下の薄肉形状など、太盛工業だけが実現できる数多くの技術によって作られた製品です。

・ロット

3D プリンターは単品からの製作が可能です。MIM については金型を製作する必要があるため、一般的に少なくとも 300 個以上の生産を行うことが必要です。そのため設計・開発者にとっては MIM と 3D プリンターは代替的な技術ではなく補完的な技術と言えます。3Dプリンターは金型を製作することなく簡単に部品を得ることができますが、一般に部品1個の製作に2~6時間必要とするため、コスト面から見ても現実的な生産数としては 100 個程度が限界といわれています。生産数が 100 個以下なら3D プリンター、300 個、1000 個以上といった大ロットでは MIM、といったように必要なロットに応じて最適な加工法を選ぶことが重要です。

2. ガールズジュエリー東京に出展!

太盛工業は 1 月 20~23 日に東京ビッグサイトで開催されるガールズジュエリー東京に出展します!この展示会は 20・30 代の女性向けアクセサリー展で、太盛工業はコラボ先と共同開発した新作の香るジュエリーをこの展示会で発表、販売を行います。太盛工業が開発した多孔質金属の新しいアプリケーションをどうぞ展示会でご覧ください!

<今後の展示会・学会 予定>
2016 年 2 月 ものづくり VA・VE 技術マッチングフェア東海・名古屋(名古屋)
2016 年 6 月 MEDIX(東京)

太盛工業の社員が語る今月のコラム

太盛工業では社内の一体性を高めるため、毎年合宿を実施しています。昨年末は淡路島にて合宿を行いました。初日の座学では筋肉の重要性などを勉強したあと、各チームに分かれてのプチ運動会を実施!翌朝は朝日を浴びながらのランニングで始まり、陶芸にて<限界を超える>をテーマに作品作りを楽しみました。2 日間で普段話す機会の少ない人達とも話ができ、仕事場では味わえないコミュニケーションの場や、チームで考える機会が沢山持て、楽しく、一体感を感じる研修でした。