μ-MIM技術ニュース Vol.35

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1. MIM 部品のスピード試作

試作開発のリードタイム半減を実現

これまで、MIM における試作は射出成形用の金型を部品ごとに製作する必要があるため、初回の打合せから検討を重ね、試作品を製作するまでには 1 か月や 2 か月といった長期間のリードタイムが必要でした。
特にタイトなスケジュールの中で開発、試作、量産立上まで行わなければならないエンジニアの方にとっては、この MIM 試作のリードタイムが制約となり十分に MIM 化の検討を行えないため採用を見送った、ということも過去に数件ありました。
そこで太盛工業は、今回 MIM 部品の試作製作の新しいシステムを導入、試作のリードタイムを半分に短縮することに成功しました。
この新しい試作の仕組みでは、実際に過去の事例では 1 か月掛かっていた試作期間を 2週間に半減することが出来ています。

この新しいシステムで試作製作する MIM 部品は、実際の本金型での製作と同じスペックを実現することができ、また100ショット以上の試作製作が可能です。そのため、試験評価だけでなく初期ロット対応といった柔軟な対応も今後可能となっていきます。
新製品開発の際には、スピードがとても大きな付加価値を生みます。まだ上の例のように 2週間といった短期間で対応できる範囲はこれまでμ-MIM®の実績がある形状に限られますが、太盛工業では今後より適用範囲を拡大させ、高精度や微細加工だけでなく、スピードの面でも価値を追求していきます。

2.特殊ギア製作事例のご紹介

MIM による微小なギア製作はこれまでのニュースでもご紹介したように、μ-MIM の技術を上手く活用しやすいアプリケーションです。今回は特殊なギアの製作例として「ネジ歯車 ―ウォームギア(worm gear)」をご紹介します。英語の字のごとく、見た目が似ているワーム(芋虫等)から名付けられたギアです。相方となるはす歯ギアと共に用いられ、静粛性能に優れるといった特徴があります。

一般的な大きさのものであればネジ部品等と同じく機械加工で製作可能です。しかし米粒大くらいのサイズのウォームギアとなると、機械加工での製作は困難で、またほとんどのメーカーでは測定評価も極めて難しくなります。太盛工業にはこういった特殊な微小ギアの依頼が増えており、数多くの実績とノウハウが蓄積していっています。微小・微細ギアでお困りの際はぜひご相談ください。

3.欧州専門技術誌 IVAM にて特集

太盛工業のμ-MIM 技術が紹介されました

ドイツの微細加工技術を追求するプラットフォーム IVAM が定期発行している業界紙の中で太盛工業のμ-MIM 技術が特集されました。これまでは不可能だった微小・微細部品を実現する先進 MIM 技術として、μ-MIM による中空構造部品や、微小インターナルギア、といった事例を取り上げ、紹介されました。

4. COMPAMED 出展のご報告

太盛工業は 11 月 14~17 日にドイツ、デュッセルドルフで開催された COMPAMED に昨年に続き出展いたしました。世界最大の医療機器関連 展示会とあって、前回同様多くの来場者で会場が賑わいました。お取引のある欧州メーカー様や過去の展示会・商談会等で知り合った企業様など多くの方にブースまでお越しいただき、最新の MIM 技術をお伝えしたり、現在抱えておられる課題を伺ったりと、大変有意義な展示会となりました。

<今後の展示会・学会 予定>
2016 年 11 月先端加工技術マッチングフェア(東京)

太盛工業の社員が語る今月のコラム

こんにちは。ドイツ駐在所の中村です。ドイツに赴任して 2 回目の秋を過ごしましたが、日本と同じく欧州にも四季折々で色々なお祭りごとがあります。
たとえば、ドイツ事務所のあるオッフェンブルグ市内の村では毎秋かぼちゃ祭りが開催されます。かぼちゃの収穫が出来た月の週末に開催され、それぞれの家庭菜園や畑で採れた立派なかぼちゃを使って様々な形のかぼちゃアートが飾られるのです。大きなかぼちゃを栽培した人達が競う「かぼちゃ女王」では 2.45m ものかぼちゃが見られることも!夜はかぼちゃランプで村が灯されます。