μ-MIM技術ニュース Vol.36

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1. MIM とプレス加工

製品の開発・設計時にMIMと比較されることが最も多い工法は機械加工ですが、機械加工の他にもいくつか MIM との比較対象として挙げられる工法があります。今回はその中でもプレス加工を例として取り上げます。

○プレス加工の特徴

プレス加工は金属の板を、金型等を用いて打ち抜いたり、変形させることで求める形状を得る塑性加工法です。量産生産に向いており、自動車業界や電子部品業界をはじめあらゆる業界で用いられている基本的な加工方法です。プレス加工には長年に渡る膨大な技術の蓄積があり、単純に 1 枚板から作られているような製品だけでなく、「板鍛造」や「深絞り」等の技術により、段付きギアやヨーク等様々な形状や機能を持った製品を作り出すことも可能となっています。そのため、開発設計の場でも「プレスで複雑形状部品を作れる」ということで MIM と比較されるケースがあります。では、プレス加工と MIM の違いはどこにあるのか、いくつかの重要なポイントを選んで説明します。

○ サイズ

まず大きく異なるのが「サイズ」の点です。MIM で使用する金属粉末は溶製材と比べ高価なためサイズが大きくなると材料費の占める割合が高くなります。そのため、「形状」とも関係しますが、MIM は射出成形金型を使用して、微小・複雑な部品を製作することが得意です。この形状の複雑性については、プレス加工のみならず機械加工以上に複雑形状の量産生産に向いていると言えます。MIM による複雑形状の加工部品の例としては、例えば高機能なノズルやギアなどが挙げられます。

○ 量産性

量産性については MIM もプレス加工も 10万、100 万単位の生産に金型を用いながら対応できるという点で双方共に優れています。機械加工よりも量産性は高い傾向にあると言え、MIMとプレス加工を比較する際は他の要素が重要になることが多いと言えます。

○ 精度、形状

太盛工業に近年相談が多い内容の一つは、「プレス加工では形状、精度が出ないから MIM を検討したい」というケースです。例えば小さなケースの底面の平面度や、長ボスの直角度、位置度といった幾何公差面で、3/100 や 1/100 といった精度が必要になるとプレス加工では精度が出せず、かといって機械加工を検討するとコストが高すぎる、といった状況で MIM を検討されることが増えています。また機械加工やプレス加工では破れが生じてしまうような 100μm 台の薄肉形状や、金型、工具が入らないアンダーカット形状も引合が多い内容です。

○ 材料

MIM は金属粉末、プレス加工は金属板から製作するので材料が流通している限り対応が可能です。しかし MIM は金属粉末と樹脂の混合物を射出成形し形状を得るため、さらにいくつかの特徴があります。
例えばプレス加工で製作するスイッチ部品等は、バイメタルの材料等を用いることがありますが、これは材料のコントロールが困難です。MIM の場合は 2 色成形や焼結接合といった技術を用いることにより、柔軟な材料のコントロールが可能であり、プレス加工よりも高い柔軟性を持っています。

○ 最後に

実際の開発・設計の際にはプレス加工、MIM の双方の特徴をよく理解して選択を行うことが重要となります。特にμ-MIM®のような高精度の MIM はこれまで採用したことがない、という会社も多くいらっしゃいますが、部品の微細化、小型化が進む中で MIM はぜひ知っておいて頂きたい技術ですので、高精度・微細部品ご検討の際は、ぜひ太盛工業にお声掛けください。

太盛工業の社員が語る今月のコラム

皆様初めまして!太盛工業製造技術、坂田と申します。わたしは、学生時代より社会人まで 11年間ラグビーをしており、ものづくりの世界に飛び込みました!仕事内容は、主に新規案件の立ち上げや社内工程・環境の改善、新技術の開発、あと宴会部長兼ゴルフ部部長を務めております(笑)目標は、大真面目に太盛を世界一のMIMメーカーにすることです!!そのために自分に何が求められるか、常に自主的・能動的に取り組んでいかなければと思っております。趣味はゴルフとキャンプと筋トレと車と飲み会とカラオケと麻雀と、、、、、書ききれません(笑)。社内のゴルフ部もより盛り上げていきたいので、製造部品のお引き合いとともに、コンペのお誘いも是非お待ちしております。今後ともよろしくお願い致します!!