μ-MIM技術ニュース Vol.41

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

μ-MIM が選ばれる理由 Part.2

太盛工業には現在、日本だけでなく世界中から、高精度な MIM を求めて相談が舞い込みます。μ-MIM がより高いスペック、品質を求めるエンジニアに選ばれている理由を前回に続き解説します。

①機械加工不可能な形状を量産生産

どのような部品も MIM で加工すると良いかというとそうではありません。機械加工が得意な形状と MIM が得意な形状は異なります。MIM が強みを発揮するのは、機械加工では高コスト、加工不可能な形状を量産する時です。機械加工は微細・精密加工における最も代表的な加工方法ですが、一方で工具を用いて加工を行うため、量産生産における限界があります。1 品、小ロットであれば加工できても量産になると納期・コストがかかる。あるいはそもそも加工上の制約から加工自体も不可能なケースも少なくないのです。

たとえば上記の写真は一見するとこれまでに紹介してまいりました、ステンレス製のマイクロピラー(直径100μm 高さ200μmの柱状構造)のようですが、断面模式図のように逆テーパ状になっており、機械加工のみならず通常の加工では量産の実現は不可能な形状となっております。
このような形状を製品の表面に付与することで、例えば異種材料(ゴムやプラスチックなど)との接合の必要な製品では該当箇所でのアンカー効果から強固な密着が期待できますし、電極や集電体などの電気化学的な用途では接触面積と比表面積の確保が同時に行えます。

②他工法からの高レベル工法転換を実現

MIM では大きな前提として、量産生産の技術という事が重要です。例えば10個、100個といったロット数の部品を製作する上では、MIM では金型費用がイニシャルコストとして大きく現れてきます。しかし、一方でロットが1000、10000、100000といった数になってくると、下の模式図にみられるように他工法での生産に比べ、MIM での量産性が大きなメリットとして現れてきます。

MIM 技術の普及に伴い、MIM と3D プリンターが比較されることも増えてきましたが、3D プリンターの場合は現状ではロットが100個といった領域までが現実的な生産量であり、MIM と生産量の領域が重なることはありません。機械加工からプレス加工 、板金加工とい った工法転換をMIMと比較されることもありますが、プレス加工や板金加工を検討できるような2.5次元形状の部品を MIM 化検討したとしても、コストメリットが出るケースは少なくなります。MIM 化のメリットが大きく出てくるのは、「高価だけど他の加工方法では代替できないので、機械加工を使っている」というケースが多いです。更に、これらのケースでは一般の MIM メーカでは困難な精度、形状、材料の領域が多くなります。他の MIM メーカと太盛工業が異なるのは、上記のコスト比較図が一般的な機械加工部品だけでなく、高付加価値の機械部品(形状・材質)に対してまで MIM化を検討できるところにあります。つまり機械加工部品として高価であればあるほど、μ-MIM を用いることによる量産コストダウン効果を得られる可能性が大きくなるのです。

③ユーザーの課題を共に解決する、オンリーワンのものづくり

太盛工業が目指すのは、「これができるのは太盛工業だけ」となるような技術面での圧倒的な差別化と、ユーザーに寄り添う町工場の機動力を併せ持ったモノづくりです。これまで太盛工業はユーザーから持ち込まれる課題から次の時代のニーズを探し、常に技術開発を行ってきました。研究開発拠点を構えて R&D を行う一方、国内 MIM メーカでは唯一と言っていいほど、国内外での学会活動も活発的に行っています。太盛工業では新しい MIM に関する情報を発信するサイト「MIM 技術.com」にて、 随時新しい事例も公開しています。ぜひご覧ください。

<今後の展示会・学会 予定>
2017 年 11 月 OSAKA ビジネスフェアものづくり展
12 月 大阪モーターショー

太盛工業の社員が語る今月のコラム

古い人間ですが、太盛工業ではまだまだ新人の西平賀孝(にしひら よしたか)と申します、よろしくお願い致します。業務内容は MIM 製造グループにて、MIM 原料の混練およびペレット造粒等を主体業務としております。これらの作業を円滑に進め、均質で安定した材料を常に現場に供給すべく、「前準備良ければ全て良し!」を仕事上でのモットーとしております。
学生時代には軽音楽のバンドを組み、ボーカルとドラムも時々やっていました。時代のながれから反戦歌、ロック、フォークソング、グループ・サウンズが台頭し入り乱れている時代で、思い起こせば懐かしいです。髪の毛をロングにしたりして、、、最近では夏休みに小学生の孫二人を連れてUSJ に、ハリーポッターのアトラクション待ちの 3時間にも子どもたちはへっちゃらで、他に並んでいた外国のお客さんたちとも身振り手振りで仲良くなってしまっていました。感心するとともに時代の流れを感じてしまいます。